食品表示の販売者・製造者・加工者の違い|実物ラベルで解説
食品に「販売者」と書かれた会社が、製造まで行っているとは限りません。販売者と製造者の違い、製造所の探し方、「加工者」と表示される場合を、5商品のラベルで見ていきます。自社の表示に会社名や住所を書くときの疑問にも答えます。
執筆:もぐもぐ
食品表示の「販売者」は、その食品を作った会社とは限りません。 販売する会社が表示内容に責任を持つ場合に使う言葉です。
作った会社や工場を知りたいときは、「製造者」「製造所」の表示や、会社名の後ろにある「+」付きの記号も見てください。販売者の住所と製造場所が違う食品もあります。
この記事は、容器包装に入れて販売される一般消費者向けの加工食品を中心に説明します。制度・公的資料の最終確認日:2026年9月5日。
販売者と製造者の違いを実物ラベルで見る
食品の名称や原材料名などをまとめた欄を「一括表示」といいます。まずは、その中とすぐ外側にある会社名を見比べてみましょう。
販売者と製造者が別の会社になっている

枠の中には、販売者として「雪印メグミルク(株)」と札幌市の住所が書かれています。この商品の表示内容に責任を持つ会社です。
枠のすぐ下には、製造者として「株式会社ふくれん 甘木工場」と福岡県朝倉市の住所があります。製造した会社と工場は、こちらの表示から分かります。
札幌市の住所は販売者の所在地で、この商品を作った工場の住所ではありません。
製造者の欄に工場まで書かれている

「名代そうめんつゆ」には、「製造者:ヤマモリ株式会社 松阪工場」と、その工場の所在地が続けて表示されています。会社名と製造場所を同じ欄で確認できる表示です。
表示に責任を持つ事業者と実際の製造所の情報が一致する場合は、このように一つの表示で兼ねることができます。
販売者・製造者・加工者・輸入者の意味
| 欄の名称 | 表示する事業者 |
|---|---|
| 販売者 | 製造業者などとの合意により、表示に責任を持つ販売業者 |
| 製造者 | その食品を製造した事業者 |
| 加工者 | 切断・小分けなどの加工をした事業者 |
| 輸入者 | その食品を輸入した事業者 |
一括表示では、基本的にはこの4つの名称のいずれかを使って、表示内容に責任を持つ事業者を示します。この事業者を「表示責任者」と呼びます。
ただし、図1のように、製造場所を伝えるために「製造者」が別に書かれる場合もあります。「製造者」と書かれている会社が、どの表示でも必ず表示責任者になるわけではありません。
「製造者」と「製造所」はどう違う?
製造者は、食品を作った事業者。製造所は、作った場所です。「加工者」と「加工所」も同じように、事業者と場所の違いがあります。
同じ会社でも、本社と工場の住所は異なることがあります。会社の本社住所が書かれていても、そこが製造場所とは限りません。
製造所・加工所の表示で示すのは、食品の衛生状態を最後に変える製造・加工を行った場所です。
製造後に別の会社が開封して小分けするなら、小分けした会社と加工所も確認します。配送だけを行う倉庫とは区別します。
販売者しか書かれていないとき、製造場所はどこを見る?
「販売者」しか見当たらなくても、製造場所の情報がないとは限りません。別の場所に製造所が書かれていたり、製造所固有記号で示されていたりします。

シャウエッセンの販売者欄には「日本ハム株式会社」と大阪市の住所があります。その下に、「製造所固有記号は表面の賞味期限の後に記載」と書かれています。
この写真で分かるのは、記号を探す場所までです。実際の記号は商品の表面で確認します。大阪市の販売者住所を、そのまま工場の所在地として読むことはできません。
- 一括表示の近くに「製造所」「加工所」や、別の会社名・住所がないか探す
- 「製造所固有記号は○○に記載」などの案内があれば、その場所を見る
- 会社名と「+」の後ろの記号を控え、メーカーの案内や消費者庁の検索ページで調べる
「+」の後ろの記号から工場を調べる
「+AB」などの製造所固有記号は、届け出た製造所を特定するための記号です。検索するときは、パッケージにある製造者・販売者の名称と記号を確認します。先頭の「+」は検索欄に入力しません。
記号だけでは工場を特定できないことがあります。検索で見つからないときは、パッケージにある問い合わせ先へ商品名・記号・期限表示を伝えてください。
記号の探し方や検索手順は、製造所固有記号の解説記事にも掲載しています。
一般消費者向けの商品では、原則として、同一製品を2以上の製造所で作る場合に使う制度です。会社名や住所を自由に省略するための記号ではありません。
製造者と加工者はどう違う?
消費者庁のQ&Aでは、原料から本質的に異なる新たな食品を作ることを「製造」としています。「加工」は、食品の本質を保ったまま、形を変えるなどの処理をすることです。
例えば、加工食品の切断、整形、選別、小分けなどが加工の例です。ただし、切る作業があれば必ず「加工者」になる、というわけではありません。
図4 同じカットでも、焼く工程から行ったかで違う
A社が焼いてから切る
A社で牛肉を焼く
↓
続けてA社でカットするA社は「製造者」
焼くところから一連の作業を行っています。A社が、他社で焼いた肉を切る
他社で焼いた牛肉を仕入れる
↓
A社でカットするA社は「加工者」
A社が行うのは、出来上がった食品のカットです。
図4は、消費者庁Q&A「総則-14~16」(新しいタブで開きます)の説明をもとにした模式図です。実物商品の製造工程を示したものではありません。
「加工食品」という食品の区分と、「加工者」という事業者の区分は別です。 加工食品を製造した会社が「製造者」と表示することもあります。
実物の「加工者」表示を見てみる

この野菜ミックスには、販売者として「イオン(株)」、加工者として「(株)106デリカ 三田工場」が表示されています。加工した事業者とその所在地は、販売者とは別の行にあります。
写真から読み取れるのは、この会社名や表示の仕方です。実際にどの工程を行ったかは、ラベルだけでは分かりません。自社商品の区分を決めるときは、誰が何をしたかを工程表で確かめます。
輸入者の住所と原産国の見方

SPAMのこのラベルには、「原産国名 アメリカ」と、「輸入者 日本珈琲貿易株式会社」が書かれています。大阪市の住所は輸入者の所在地です。
国内の会社名と住所があることだけでは、国内で製造された商品とは判断できません。輸入品の原産国は「原産国名」の欄で確認します。
原産国は、商品の内容に実質的な変更を加えた国として判断します。輸入後に日本で小分けしただけで、原産国が日本に変わるわけではありません。
国内で小分けする場合や、販売業者が表示責任者になる場合は、輸入者以外の名称が表示されることもあります。詳しくは消費者庁Q&A「加工-118、150~153」(新しいタブで開きます)で確認できます。
表示を作る方へ:販売者と製造者は両方書く?
販売者が表示責任者になる場合も、製造所の情報は原則として必要です。「販売者を書けば、製造した会社や工場は書かなくてよい」とは考えないでください。
まず、どの事業者が表示内容に責任を持つのかを決めます。そのうえで、実際に製造・加工した事業者名と施設の所在地をどう表示するかを決めます。
図7 会社名と住所の書き方(架空の抜粋例)
製造者名と工場の住所をまとめて書く
製造者 ○○食品株式会社
東京都○○区○○1-2-3会社名と工場の住所を表示します。表示責任者と製造所の情報が一致する場合は、一つの表示で兼ねられます。
販売者と製造所を別々に書く
一括表示の中
販売者 ○○商事株式会社
東京都○○区○○1-2-3一括表示のすぐ外側
製造所 △△食品株式会社
埼玉県○○市○○4-5-6販売者と製造所固有記号を書く
販売者 ○○商事株式会社 +AB
東京都○○区○○1-2-3製造所に関するお問い合わせ先
〈実際の連絡先を記載〉使用要件を満たし、届出を行った場合に限ります。
図7は、会社名と住所の配置を説明するための架空例です。名称・原材料名など、ほかの表示事項は省いています。記号「+AB」も説明用で、実際に使える記号ではありません。
両社を同じ枠の中に書いてもよい?
販売者が企画した商品を別の会社に製造してもらう場合、販売者と製造所の情報を併記できます。図1のように、製造者を一括表示のすぐ外側に書く方法もあります。
枠の中に両方を書く場合には、販売者が表示に責任を持つことについて合意しておきます。配置例は消費者庁Q&A「加工-116、252」(新しいタブで開きます)に掲載されています。
本社と工場の住所が違う場合
表示責任者として本社の名称・住所を書く場合も、製造所の所在地は別に確認します。同じ会社だからといって、本社の住所だけで工場の情報を省略できるわけではありません。
製造所を別に書いたり、要件を満たす製造所固有記号を使ったりする方法があります。どの住所が何を示すのか、読み手に伝わるように記載します。
個人で製造する場合、屋号だけでよい?
個人で製造する場合は、原則として個人の氏名と所在地を記載します。屋号や店名だけでは代えられません。法人の場合は法人名を使います。
店名も載せたい場合は、氏名と併記します。名称・住所の基本:消費者庁通知の加工食品1(6)(新しいタブで開きます)
製造所固有記号を使う場合の条件
- 原則は、同一規格・同一包材の製品を2以上の製造所で作る場合です。複数の製造所で作る計画を届け出る場合など、例外もあります。
- 届出のほか、製造所について回答する連絡先、製造所情報を掲載したウェブサイトなど、所定の情報を商品に表示する必要があります。
- 乳・乳製品などでは、販売者名と製造所固有記号によって製造所等の表示を代えることは認められません。
詳しい要件や例外は、消費者庁Q&A「製造所固有記号」(新しいタブで開きます)で確認してください。消費者庁の検索ページへのリンクを載せるだけで、事業者に求められる情報提供に代えられるわけではありません。
委託先と確認しておくこと
- 表示内容に責任を持つのは、自社か委託先か
- どの事業者が、製造・加工・小分けの各工程を行うか
- 表示する会社名、氏名、製造所・加工所の住所は正しいか
- 製造所固有記号を使うなら、使用要件・届出・問い合わせへの対応は整っているか
- 工場や委託先が変わったときに、誰がラベルを更新するか
会社名と製造場所が決まったら、原材料名や期限表示などもそろえます。全体の作成手順は、食品表示ラベルの作り方をご覧ください。
自社商品の食品表示案を作る
無料ツールに、確認した事業者名・住所や原材料などを入力できます。製造者・加工者の区分や、製造所固有記号を使えるかどうかは、事前に確認してください。
商品について問い合わせたいとき
パッケージにお客様相談窓口があれば、まずそこへ連絡します。見当たらない場合は、販売者・製造者などとして表示に責任を持つ事業者を確認してください。
商品名、賞味期限・消費期限、ロット番号、製造所固有記号を控えておくと、該当商品を伝えやすくなります。一括表示と期限表示の写真も残しておくと役立ちます。
販売者・製造者・加工者についてよくある質問
販売者と製造者は同じ会社ですか?
同じ場合も、別の会社の場合もあります。販売者として書かれた会社が、別の会社に製造を委託している食品もあります。作った会社や場所は、製造所の表示や製造所固有記号まで見て確認します。
販売者しか書いていない食品は、表示が間違っているのですか?
販売者欄だけでは判断できません。一括表示の近くや、記載場所の案内、会社名の後ろの「+」付き記号も探してください。商品や包装によって省略規定が関係する場合もあります。不明なときは表示された問い合わせ先に確認します。
製造者の住所は、その食品を作った工場の住所ですか?
必ずしもそうとは限りません。本社の住所を表示し、製造所の所在地を別に書く方法もあります。製造所表示や製造所固有記号がないか、パッケージ全体を見てください。
加工食品なら「加工者」と書くのですか?
いいえ。「加工食品」という食品の区分と、「製造者」「加工者」の区分は別です。誰がどの工程を行ったかで判断します。同じ事業者が牛肉を焼いてカットする場合と、他社で焼いた肉を仕入れてカットする場合でも異なります。
販売者と製造者を両方書くことはできますか?
できます。販売者が表示責任者となる場合も、製造所情報は原則として必要です。一括表示のすぐ外側に製造者・製造所を書く方法などがあります。枠の中に両方を併記する場合は、販売者が表示に責任を持つことについて合意しておきます。
輸入者に日本の住所があれば、日本で作られた食品ですか?
そうとは限りません。その住所は国内の輸入者の所在地です。商品の原産国は、原産国名の表示で確認します。輸入後に日本で小分けしただけでは、原産国は日本に変わりません。
製造所固有記号は、記号だけで検索できますか?
記号だけでは製造所を特定できないことがあります。パッケージに表示された製造者・販売者名と記号を確認し、消費者庁の検索ページなどで調べます。先頭の「+」は入力しません。見つからないときは商品に記載された問い合わせ先へ確認してください。
参照した公的資料
制度・公的資料の最終確認日:2026年9月5日。食品表示基準・通知・Q&Aは、消費者庁が掲載する2026年4月1日改正の資料を確認しました。
写真は、当サイトに登録した商品の撮影時の表示です。リニューアルで変わることがあります。写真から製造工程や契約関係を推測したり、そのまま自社商品へコピーしたりすることはできません。
個別商品の表示を決める際は、製造工程と取引関係を確認し、判断に迷う点は管轄の行政機関などへ相談してください。この記事や掲載商品は、個別の表示の法令適合性を保証するものではありません。
関連キーワード
食品表示 / 販売者 / 製造者 / 加工者 / 輸入者 / 製造所固有記号 / 販売者と製造者の違い / 委託製造