手作り食品を販売するには?必要な許可・届出・食品表示作る人向け:食品表示の作り方公開 2026/09/02更新 2026/09/02食品事業者向け
手作り食品を製造・販売するには?開業までの8ステップ
手作り食品や加工食品を販売したい方向けに、商品と製造工程の整理、保健所への相談、営業許可・届出、製造施設、衛生管理、期限、食品表示までを、実際に動く順番で解説します。
著者・監修: 食品表示ラベルナビ編集部
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食品を販売したいと思ったとき、最初にラベルを作ったり、厨房を借りたりする必要はありません。まず、何を、どの工程で、どこで作り、どのように包装・保存して、誰にどう販売するかを書き出します。その情報を持って保健所へ相談すると、必要な手続と施設の準備を具体的に確認できます。
食品を販売する前に、準備の全体像を確認する
記事の内容を実例や自社商品で確認する
掲載商品の一括表示画像で、記事の内容を実例で確認できます。
- 手作り食品は、作ってすぐ販売できるとは限らない。
- 食品の種類だけでなく、製造工程、包装、保存温度、販売方法などによって営業許可・営業届出の確認内容が変わる。
- 営業許可が不要でも、営業届出が必要な場合がある。
- 日常生活で使う家庭用キッチンを、そのまま営業施設として使えるとは限らない。
- 物件契約、設備購入、工事の前に、営業施設を管轄する保健所へ相談する。
- 包装して一般消費者へ販売する加工食品では、食品表示を別に準備する。
- 許可、期限、表示は商品開発の最後ではなく、試作・施設検討の段階から一緒に考える。
販売開始までの8ステップ
商品と販売方法を決める
食品、保存温度、販売先、製造場所を具体化する
製造工程を整理する
受入れから包装・出荷までを順番に書く
保健所へ事前相談する
工程、包装、保存、図面を持って相談する
許可・届出と製造施設を準備する
必要な手続と施設基準を個別に確認する
衛生管理体制を作る
責任者、計画、手順、記録方法を決める
包装・保存方法・期限を決める
製造・流通条件に合う根拠を用意する
食品表示ラベルを作る
規格書と製造情報から表示案を整理する
8
販売方法ごとの最終確認を行う
通販、マルシェ、委託先の条件まで確認する
手作り食品を販売する前に知っておきたいこと
営業許可、営業届出、食品衛生責任者、HACCPに沿った衛生管理、食品表示は、同じ手続の別名ではありません。担当する制度と確認する内容が違うため、どれか一つを済ませれば販売準備がすべて終わるわけではありません。
販売前に関係する制度を分けて確認する- 項目
- 営業許可
- 誰・何が対象か
- 食品衛生法施行令で定める許可業種の営業
- 何を確認する制度か
- 業種と施設基準を満たして営業できるか
- 主な確認先
- 営業施設を管轄する保健所
- 注意点
- 現行の許可業種は32業種。食品名だけでなく実際の工程で確認する
- 項目
- 営業届出
- 誰・何が対象か
- 許可営業と届出対象外営業を除く食品営業
- 何を確認する制度か
- 営業者、施設、営業の種類など
- 主な確認先
- 営業施設を管轄する保健所
- 注意点
- 許可が不要でも届出が必要な場合がある
- 項目
- 届出対象外
- 誰・何が対象か
- 公衆衛生への影響が少ないとされる一定の営業
- 何を確認する制度か
- 届出の対象外に当たるか
- 主な確認先
- 保健所・厚生労働省資料
- 注意点
- 包装済み食品の販売だけの例を、製造にも広げて考えない
- 項目
- 食品衛生責任者
- 誰・何が対象か
- 対象となる営業施設で衛生管理を担う人
- 何を確認する制度か
- 施設内の衛生管理を誰が担うか
- 主な確認先
- 保健所・養成講習会の実施機関
- 注意点
- 営業許可そのものでも、食品を販売できる万能資格でもない
- 項目
- HACCPに沿った衛生管理
- 誰・何が対象か
- 食品の製造・加工等を行う営業者
- 何を確認する制度か
- 衛生管理計画、実施、記録、見直し
- 主な確認先
- 厚生労働省・業種別手引書・保健所
- 注意点
- 許可や届出とは別に、日々実行する仕組みを作る
- 項目
- 食品表示
- 誰・何が対象か
- 主に、包装された一般用加工食品を販売する事業者
- 何を確認する制度か
- 消費者へ伝える商品情報と表示方法
- 主な確認先
- 消費者庁・表示を担当する行政機関
- 注意点
- 許可を取得しても、表示確認が不要になるわけではない
| 項目 | 誰・何が対象か | 何を確認する制度か | 主な確認先 | 注意点 |
|---|
| 営業許可 | 食品衛生法施行令で定める許可業種の営業 | 業種と施設基準を満たして営業できるか | 営業施設を管轄する保健所 | 現行の許可業種は32業種。食品名だけでなく実際の工程で確認する |
| 営業届出 | 許可営業と届出対象外営業を除く食品営業 | 営業者、施設、営業の種類など | 営業施設を管轄する保健所 | 許可が不要でも届出が必要な場合がある |
| 届出対象外 | 公衆衛生への影響が少ないとされる一定の営業 | 届出の対象外に当たるか | 保健所・厚生労働省資料 | 包装済み食品の販売だけの例を、製造にも広げて考えない |
|
ステップ1:販売する食品と販売方法を具体的に決める
「お菓子を売りたい」「ジャムを作りたい」という商品名だけでは、必要な手続を判断する情報が足りません。同じ呼び方の商品でも、生ものを使うか、加熱後に冷却するか、密封するか、常温か冷蔵か、卸売するかによって確認内容が変わります。少なくとも次の項目を、商品ごとに一枚へまとめます。
最初に決めること- 分類
- 商品
- 書き出す内容
- 商品名、食品の種類、原材料、生ものの使用
- 保健所へ伝える理由
- 食品の性質と工程を把握するため
- 分類
- 製造
- 書き出す内容
- 加熱の有無・条件、加熱後の冷却、充填、密封
- 保健所へ伝える理由
- 危害要因と必要な営業区分を確認するため
- 分類
- 保存・包装
- 書き出す内容
- 常温・冷蔵・冷凍、包装方法、製造後すぐ販売するか
- 保健所へ伝える理由
- 施設、期限、流通条件を確認するため
- 分類
- 販売
- 書き出す内容
- 店頭、卸売、ネット、マルシェ、委託販売
- 保健所へ伝える理由
- 会場や販売先ごとの追加条件を確認するため
- 分類
- 場所
- 書き出す内容
- 製造、原材料保管、製品保管、包装、発送を行う場所
- 保健所へ伝える理由
- 許可施設の範囲と施設所在地を確認するため
- 分類
- 配送
- 書き出す内容
- 発送方法、配送温度、想定日数
- 保健所へ伝える理由
- 保存方法と期限を販売時まで保てるか確認するため
| 分類 | 書き出す内容 | 保健所へ伝える理由 |
|---|
| 商品 | 商品名、食品の種類、原材料、生ものの使用 | 食品の性質と工程を把握するため |
| 製造 | 加熱の有無・条件、加熱後の冷却、充填、密封 | 危害要因と必要な営業区分を確認するため |
| 保存・包装 | 常温・冷蔵・冷凍、包装方法、製造後すぐ販売するか | 施設、期限、流通条件を確認するため |
| 販売 | 店頭、卸売、ネット、マルシェ、委託販売 | 会場や販売先ごとの追加条件を確認するため |
| 場所 | 製造、原材料保管、製品保管、包装、発送を行う場所 | 許可施設の範囲と施設所在地を確認するため |
| 配送 | 発送方法、配送温度、想定日数 |
ステップ2:製造工程を書き出す
製造工程は、保健所への相談、衛生管理計画、期限設定、食品表示のすべてで使う基礎資料です。商品ごとに、原材料を受け取ってから完成品を出荷するまでを順番に書きます。下の項目はひな形です。自分の商品にない工程は削り、温度・時間・場所が重要な工程には具体的な条件を足してください。
商品名:
- 原材料受入れ
- 保管
- 計量
- 下処理
- 混合
- 加熱(温度・時間: )
- 冷却(方法・時間: )
- 充填
- 包装・密封
- 金属等の異物確認
- 冷蔵・冷凍
- 完成品保管
- 出荷
ステップ3:設備を決める前に保健所へ相談する
相談先は、原則として製造する営業施設の所在地を管轄する保健所です。物件を契約し、設備を買い、工事を終えてから相談すると、施設基準に合わない箇所の修正が必要になることがあります。候補物件の図面と製造工程が用意できた段階で相談してください。
相談時に伝えること
- 商品名だけでなく、原材料と製造工程を見せる。
- 加熱・冷却、包装・密封、保存温度、販売方法を伝える。
- 候補施設の図面と設備配置を確認してもらう。
- 複数の商品を作る予定なら、すべての商品と工程を伝える。
- 製造、保管、包装、ラベル貼付、発送をどこで行うか伝える。
商品と工程
- 作りたい食品:
- 主な原材料:
- 詳細な製造工程:
- 加熱条件:
- 冷却方法:
- 製造予定量:
- 同じ施設で製造する他の商品:
場所・販売
- 製造場所:
- 原材料・製品の保管場所:
- 販売場所:
- ネット販売の有無:
- 卸売の有無:
- 使用予定設備・設備配置図:
相談したいこと
- 必要な営業許可・営業届出:
- 施設基準:
- その他、保健所へ確認したいこと:
ステップ4:営業許可・営業届出を確認し、製造場所を準備する
営業許可・営業届出・届出対象外の3区分を確認する
食品衛生法施行令第35条には、営業許可の対象となる32業種が定められています。菓子製造業、麺類製造業、そうざい製造業、冷凍食品製造業、漬物製造業、密封包装食品製造業、食品の小分け業などは、その業種区分の例です。ただし、商品名をこの一覧へ当てはめるだけで許可を決めることはできません。実際の原材料、工程、包装、保存、販売方法を保健所へ伝えて確認します。
食品営業制度の3区分
営業許可が必要となる営業
施行令の許可業種に該当し、自治体条例の施設基準を満たして許可を受ける営業
営業届出が必要となる営業
許可業種でも届出対象外営業でもない営業。営業開始前に届け出る
3
届出対象外となる営業
輸入、一定の貯蔵・運搬、常温で衛生上の危害が生じにくい包装食品の販売のみなど、法令で定める一定の営業
製造場所の選択肢を比較する
どの場所を選んでも、作りたい商品と工程に使えるか、原材料と完成品を保管できるか、包装・ラベル貼付・発送をどこで行うかを確認します。初期費用だけで決めると、後から保管場所や許可名義の問題が見つかることがあります。
製造場所を契約・工事する前の比較- 選択肢
- 自宅内の専用製造施設
- 初期負担・設備管理
- 改装や専用設備の負担があり、自分で管理する
- 許可と使用できる工程
- 住居部分との区画を含む自治体の施設基準を満たせるか確認
- 保管・包装・発送
- 原材料、包材、完成品の保管場所と生活用品との分離を確認
- 表示への影響と契約前確認
- 実際の製造所として表示する情報、用途地域・賃貸契約等も確認
- 選択肢
- 店舗併設の厨房・工房
- 初期負担・設備管理
- 店舗と製造設備を一体で整備・管理する
- 許可と使用できる工程
- 店内提供と包装販売で行う工程をすべて伝える
- 保管・包装・発送
- 販売中の保管、包装、ラベル貼付、搬出動線を確認
- 表示への影響と契約前確認
- 同じ場所の複数営業、製造者・販売者の関係を確認
- 選択肢
- シェアキッチン・レンタルキッチン
- 初期負担・設備管理
- 設備投資を抑えやすいが、利用規約と時間制約がある
- 許可と使用できる工程
- 許可名義人、許可業種、自分の商品・工程が対象かを施設と保健所へ確認
- 保管・包装・発送
- 原材料・製品を置けるか、包装・発送まで行えるか確認
- 表示への影響と契約前確認
- 製造所表示、同時利用、アレルゲン管理、記録保管を契約前に確認
- 選択肢
- OEM・委託製造
- 初期負担・設備管理
- 自社設備は抑えられるが、委託費と最小ロットがある
- 許可と使用できる工程
- 委託先が商品と工程に必要な許可等を持つか確認
- 保管・包装・発送
- 原料支給、完成品保管、検品、発送の担当を決める
- 表示への影響と契約前確認
- 表示責任者と実際の製造所、規格書・変更連絡・期限根拠の入手を契約で確認
| 選択肢 | 初期負担・設備管理 | 許可と使用できる工程 | 保管・包装・発送 | 表示への影響と契約前確認 |
|---|
| 自宅内の専用製造施設 | 改装や専用設備の負担があり、自分で管理する | 住居部分との区画を含む自治体の施設基準を満たせるか確認 | 原材料、包材、完成品の保管場所と生活用品との分離を確認 | 実際の製造所として表示する情報、用途地域・賃貸契約等も確認 |
| 店舗併設の厨房・工房 | 店舗と製造設備を一体で整備・管理する | 店内提供と包装販売で行う工程をすべて伝える | 販売中の保管、包装、ラベル貼付、搬出動線を確認 | 同じ場所の複数営業、製造者・販売者の関係を確認 |
| シェアキッチン・レンタルキッチン | 設備投資を抑えやすいが、利用規約と時間制約がある | 許可名義人、許可業種、自分の商品・工程が対象かを施設と保健所へ確認 | 原材料・製品を置けるか、包装・発送まで行えるか確認 | 製造所表示、同時利用、アレルゲン管理、記録保管を契約前に確認 |
|
食品別に、保健所へ伝えるポイントを整理する
次の表は許可業種の判定表ではありません。食品名・商品名だけで結論を出さず、保健所へ相談するときに工程と販売条件を漏れなく伝えるために使ってください。
食品別に保健所へ伝えるポイント(許可判定表ではありません)- 食品の例
- 焼き菓子
- 保健所へ伝える工程
- 混合、成形、焼成、冷却、クリーム・フィリング、包装
- 特に確認する点
- 加熱後の取扱い、常温・冷蔵、個包装、製品保管
- 販売前に準備する表示情報
- 原材料・添加物・アレルゲン、内容量、期限、保存方法
- 食品の例
- パン・調理パン
- 保健所へ伝える工程
- こね、発酵、焼成、冷却、具材調理、盛付け、包装
- 特に確認する点
- 加熱後の具材、冷却、販売までの時間、常温・冷蔵
- 販売前に準備する表示情報
- 複合原材料、添加物、アレルゲン、消費期限等
- 食品の例
- ジャム・ソース
- 保健所へ伝える工程
- 原料処理、加熱、pH・糖度等、充填、密封、殺菌、冷却
- 特に確認する点
- 容器、密封、常温保存の可否、開封前後の条件
- 販売前に準備する表示情報
- 名称、原材料、添加物、内容量、期限、保存方法、個別事項
- 食品の例
- 惣菜・弁当
- 保健所へ伝える工程
- 下処理、加熱、冷却、盛付け、包装、冷蔵、出荷
- 特に確認する点
- 交差汚染、冷却・保管温度、消費期限、卸売の有無
- 販売前に準備する表示情報
- 原材料・アレルゲン、内容量、消費期限、保存方法、製造所
- 食品の例
- 漬物
- 保健所へ伝える工程
- 洗浄、切断、漬込み、熟成・調味、充填、包装、保管
- 特に確認する点
- 加熱の有無、塩分・pH等、包装、保存温度
- 販売前に準備する表示情報
- 名称、原材料・添加物、内容量、期限、保存方法、個別事項
- 食品の例
- 冷凍食品
- 保健所へ伝える工程
- 前処理、加熱、冷却、凍結、包装、冷凍保管、配送
- 特に確認する点
- 凍結方法、保管・配送温度、解凍後の取扱い
- 販売前に準備する表示情報
- 名称、加熱調理の必要性、保存方法、期限、個別事項
| 食品の例 | 保健所へ伝える工程 | 特に確認する点 | 販売前に準備する表示情報 |
|---|
| 焼き菓子 | 混合、成形、焼成、冷却、クリーム・フィリング、包装 | 加熱後の取扱い、常温・冷蔵、個包装、製品保管 | 原材料・添加物・アレルゲン、内容量、期限、保存方法 |
| パン・調理パン | こね、発酵、焼成、冷却、具材調理、盛付け、包装 | 加熱後の具材、冷却、販売までの時間、常温・冷蔵 | 複合原材料、添加物、アレルゲン、消費期限等 |
| ジャム・ソース | 原料処理、加熱、pH・糖度等、充填、密封、殺菌、冷却 | 容器、密封、常温保存の可否、開封前後の条件 | 名称、原材料、添加物、内容量、期限、保存方法、個別事項 |
| 惣菜・弁当 | 下処理、加熱、冷却、盛付け、包装、冷蔵、出荷 | 交差汚染、冷却・保管温度、消費期限、卸売の有無 | 原材料・アレルゲン、内容量、消費期限、保存方法、製造所 |
ステップ5:食品衛生責任者とHACCPに沿った衛生管理を準備する
食品衛生責任者は営業施設の衛生管理を担う人で、食品衛生監視員・食品衛生管理者の資格要件を満たす人、調理師・製菓衛生師・栄養士などの資格者、都道府県知事等が行うか適正と認める養成講習会の修了者などが該当します。食品衛生責任者と、特定の製造業で置く食品衛生管理者は別の制度です。自分の営業で誰を定める必要があるかを保健所へ確認してください。
開業までに用意する衛生管理- 確認事項
- 食品衛生責任者
- 用意するもの
- 資格等の確認、養成講習会の受講記録等
- 実際に行うこと
- 施設の衛生上の管理を担う
- 確認事項
- 衛生管理計画
- 用意するもの
- 商品・工程に合う計画と必要な手順書
- 実際に行うこと
- 原材料受入れ、温度、清掃、従業者の健康等を管理する
- 確認事項
- 実施記録
- 用意するもの
- 日々記入できる記録様式
- 実際に行うこと
- 計画を実施し、結果を記録・保存する
- 確認事項
- 見直し
- 用意するもの
- 不具合、工程変更、記録の振り返り
- 実際に行うこと
- 定期的に確認し、必要に応じて計画と手順を直す
| 確認事項 | 用意するもの | 実際に行うこと |
|---|
| 食品衛生責任者 | 資格等の確認、養成講習会の受講記録等 | 施設の衛生上の管理を担う |
| 衛生管理計画 | 商品・工程に合う計画と必要な手順書 | 原材料受入れ、温度、清掃、従業者の健康等を管理する |
| 実施記録 | 日々記入できる記録様式 | 計画を実施し、結果を記録・保存する |
| 見直し | 不具合、工程変更、記録の振り返り | 定期的に確認し、必要に応じて計画と手順を直す |
小規模な製造・加工事業場等では、業界団体が作成し厚生労働省が内容を確認した業種別手引書(新しいタブで開きます)を使って計画・記録を作れます。講習を受けるだけで終わらせず、計画、実施、記録、保存、見直しまでを日常業務にします。
ステップ6:包装・保存方法・期限を決める
期限は、商品名や似た商品の日数だけで決めません。表示責任者が、食品の特性に応じた科学的・合理的な根拠を用意して設定します。微生物試験、理化学試験、官能検査などから、その食品に合う指標を選び、実際の製造・包装・流通条件で確認します。
期限と保存方法を決める要素
食品の特性
水分、pH、成分、傷み方など
製造・衛生条件
原材料、加熱、冷却、充填、取扱い
容器包装
材質、密封性、遮光性、充填方法
保存温度
常温、冷蔵、冷凍と温度変動
流通・配送条件
保管、納品、配送、販売中の条件
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期限と保存方法
根拠を記録し、表示と運用を一致させる
期限設定で確認すること
- 他社商品の期限を、そのまま自社商品へ使用しない。
- 賞味期限と消費期限は日数だけで機械的に分けず、食品の特性と設定根拠に応じて選ぶ。
- 常温・冷蔵・冷凍の販売温度に加えて、配送中の温度も合わせて確認する。
- レシピ、製造条件、包装、保存温度を変更したときは、期限を改めて確認する。
- 試験結果、判断の経緯、設定した安全係数などの根拠を記録・保存する。
ステップ7:食品表示ラベルを作る
包装された加工食品を一般消費者へ販売する場合は、営業許可・届出とは別に食品表示を準備します。必要項目は食品の種類、容器包装、販売形態、業務用か一般用かなどで変わります。次は一般用加工食品で主に確認する項目であり、すべての商品へ同じ項目を同じ形で入れる完成テンプレートではありません。
包装した加工食品で主に確認する表示項目- 項目
- 名称
- 整理する内容
- 食品の内容を示す一般的名称や個別ルールの名称
- 主な根拠資料
- 食品の分類、食品表示基準の個別事項
- 項目
- 原材料名・添加物
- 整理する内容
- 配合順の原材料と、区分した添加物
- 主な根拠資料
- レシピ、配合重量、原材料規格書
- 項目
- アレルゲン
- 整理する内容
- 原材料・添加物に由来する対象品目
- 主な根拠資料
- 仕入商品の規格書、製造工程
- 項目
- 原料原産地
- 整理する内容
- 対象原料の原産地または製造地等
- 主な根拠資料
- 仕入れ・産地情報、食品の分類
- 項目
- 内容量
- 整理する内容
- 販売単位に対応する重量、容量、個数等
- 主な根拠資料
- 充填量、包装仕様
- 項目
- 消費期限・賞味期限
- 整理する内容
- 根拠に基づく期限と、必要なら記載場所
- 主な根拠資料
- 期限設定資料、印字仕様
- 項目
- 保存方法
- 整理する内容
- 表示した期限を保つための条件
- 主な根拠資料
- 製品特性、試験・流通条件
- 項目
- 表示責任者・製造所
- 整理する内容
- 表示に責任を持つ事業者と実際の製造場所
- 主な根拠資料
- 事業者情報、許可情報、委託契約
- 項目
- 栄養成分表示
- 整理する内容
- 表示単位と熱量・基本5項目等
- 主な根拠資料
- 分析値または合理的な計算根拠
- 項目
- 食品ごとの個別事項
- 整理する内容
- 食品に応じた追加事項、表示方法、必要な注意
- 主な根拠資料
- 食品表示基準の別表、通知、Q&A
| 項目 | 整理する内容 | 主な根拠資料 |
|---|
| 名称 | 食品の内容を示す一般的名称や個別ルールの名称 | 食品の分類、食品表示基準の個別事項 |
| 原材料名・添加物 | 配合順の原材料と、区分した添加物 | レシピ、配合重量、原材料規格書 |
| アレルゲン | 原材料・添加物に由来する対象品目 | 仕入商品の規格書、製造工程 |
| 原料原産地 | 対象原料の原産地または製造地等 | 仕入れ・産地情報、食品の分類 |
| 内容量 | 販売単位に対応する重量、容量、個数等 | 充填量、包装仕様 |
| 消費期限・賞味期限 | 根拠に基づく期限と、必要なら記載場所 |
表示案を作る前に資料を集める
表示作成に使う資料
- 確定したレシピと、実際の配合重量
- 商品の製造工程
- すべての仕入商品の最新規格書
- 原材料の構成、添加物、アレルゲン情報
- 原産地・製造地情報
- 実際の内容量と包装仕様
- 保存方法と期限設定の根拠
- 栄養成分値とその算出根拠
- 表示責任者、製造者、製造所の正式な名称・住所
実際に販売されている商品の表示で、見る場所を確認する
手塩屋では、原材料名欄の「/」の前に原材料、後ろに添加物が表示されています。商品詳細では、名称、内容量、賞味期限の記載場所、保存方法、製造者・製造所も確認できます。手塩屋の商品ページで登録画像を見る
ピザパンの原材料名欄には、加工された原材料の内訳、多数の添加物、欄末尾のアレルゲンが続いています。自分の商品でソース、チョコレート、ハム、ミックス粉などを使う場合も、仕入先の規格書を確認して中身を分解します。ピザパンの商品ページで登録画像を見る
この商品では、販売者と加工者が別に表示され、加工年月日、消費期限、保存方法はそれぞれ異なる役割を持っています。委託製造や別施設での加工では、誰が表示責任者で、実際にどこで製造・加工したかを分けて整理します。カット野菜の商品ページで登録画像を見る
ステップ8:販売方法ごとの最終確認を行う
ネットショップ・通販
通販で確認すること
- 販売経路がネットであることだけを理由に、製造に必要な営業許可・届出が不要にはならない。
- 配送温度、配送期間、購入者が受け取るまでの期限を確認する。
- ECページでの情報提供と、商品容器包装の食品表示を同じものとして扱わない。
- 食品表示とは別に、特定商取引法上の広告表示を確認する。
- モールや販売プラットフォーム独自の審査・提出書類を確認する。
マルシェ・イベント
会場販売で分けて確認すること
- 許可施設等で製造した包装済み食品を、そのまま販売する場合。
- 会場で調理、盛付け、小分け、包装を行う場合。
- 地域祭りなど、一時的・非営利の行事で食品を提供する場合。
- 開催自治体の保健所、主催者、会場管理者が定める条件。
- 『マルシェだから許可不要』と判断せず、出店内容と会場所在地を伝える。
委託販売・道の駅
納品前にそろえるもの
- 製造に必要な許可・届出等を確認できる書類
- 商品規格書と最新の食品表示
- 期限設定の根拠とロット管理方法
- 納品温度、陳列・保管条件、返品・回収時の連絡方法
- 販売先独自の審査、提出様式、バーコード等の条件
販売準備で起こりやすい失敗
先に進める前に止まって確認したいこと- よくある失敗
- 保健所へ相談する前に物件を契約する
- 起こりやすい問題
- 必要な区画・設備を設置できない
- 次の行動
- 工程と図面を持って契約前に相談する
- よくある失敗
- 設備や厨房を先に工事する
- 起こりやすい問題
- 施設基準に合わず手直しが生じる
- 次の行動
- 設備配置を工事前に確認してもらう
- よくある失敗
- 食品衛生責任者の資格だけで販売できると思う
- 起こりやすい問題
- 許可・届出や施設確認が残る
- 次の行動
- 制度を分けてチェックする
- よくある失敗
- 商品名だけで必要な許可を判断する
- 起こりやすい問題
- 工程や包装による違いを見落とす
- 次の行動
- 製造工程表を作って相談する
- よくある失敗
- 普段使いの家庭用キッチンでそのまま製造する
- 起こりやすい問題
- 住居との区画や施設基準を満たさない
- 次の行動
- 自宅内の営業用施設として確認する
- よくある失敗
- シェアキッチンの許可内容を確認しない
- 起こりやすい問題
- 商品・工程や保管が利用条件外になる
- 次の行動
- 許可名義・業種・工程・保管を確認する
- よくある失敗
- ネット販売なら許可が不要と思う
- 起こりやすい問題
- 製造行為の手続を見落とす
- 次の行動
- 製造場所と工程で確認する
- よくある失敗
- マルシェなら自由に販売できると思う
- 起こりやすい問題
- 会場・自治体・主催者の条件に合わない
- 次の行動
- 出店内容を会場所在地で確認する
- よくある失敗
- 仕入商品の規格書を入手していない
- 起こりやすい問題
- 添加物・アレルゲン・原産地を確認できない
- 次の行動
- 販売前に最新規格書を集める
- よくある失敗
- 賞味期限を他社商品から流用する
- 起こりやすい問題
- 自社の製造・包装条件と根拠が合わない
- 次の行動
- 自社条件で期限根拠を作る
- よくある失敗
- 食品表示を販売直前に作り始める
- 起こりやすい問題
- 資料不足や包材の手戻りが起きる
- 次の行動
- 試作・包材検討と並行して作る
- よくある失敗
- 他社ラベルをそのままコピーする
- 起こりやすい問題
- 自社原料・工程・事業者情報と異なる
- 次の行動
- 実例は場所の理解に使い、自社資料から書く
- よくある失敗
- 原材料やレシピ変更後に表示を更新しない
- 起こりやすい問題
- 現物と表示が一致しなくなる
- 次の行動
- 変更管理と包材の版管理を行う
| よくある失敗 | 起こりやすい問題 | 次の行動 |
|---|
| 保健所へ相談する前に物件を契約する | 必要な区画・設備を設置できない | 工程と図面を持って契約前に相談する |
| 設備や厨房を先に工事する | 施設基準に合わず手直しが生じる | 設備配置を工事前に確認してもらう |
| 食品衛生責任者の資格だけで販売できると思う | 許可・届出や施設確認が残る | 制度を分けてチェックする |
| 商品名だけで必要な許可を判断する | 工程や包装による違いを見落とす | 製造工程表を作って相談する |
| 普段使いの家庭用キッチンでそのまま製造する | 住居との区画や施設基準を満たさない | 自宅内の営業用施設として確認する |
| シェアキッチンの許可内容を確認しない | |
販売開始前チェックリスト
商品・工程
- 販売する商品が決まった
- 製造工程を書き出した
- 保存温度を決めた
- 包装方法を決めた
営業手続
- 管轄保健所へ相談した
- 必要な営業許可・営業届出を確認した
製造施設
- 施設基準を確認した
- 製造・保管・包装・発送場所を確認した
衛生管理
- 食品衛生責任者を決めた
- 衛生管理計画を作成した
- 実施記録の方法を決めた
食品表示
- 仕入先の最新規格書を集めた
- 原材料と添加物を整理した
- アレルゲンを確認した
- 栄養成分値を準備した
- 食品表示ラベルを作成した
販売方法
- 販売場所やプラットフォームの条件を確認した
- 納品・配送・回収時の連絡方法を決めた
よくある質問
手作り食品の販売許可・届出に関するFAQ
食品を販売するには必ず営業許可が必要ですか?+
必ずとは限りません。ただし、営業許可が不要でも営業届出が必要な場合があります。製造を行う場合は、食品名だけでなく製造工程、包装、保存温度、販売方法、施設所在地を保健所へ伝えて確認してください。
営業許可がいらない食品はありますか?+
食品名だけによる全国共通の一覧では判断できません。常温で長期間保存しても衛生上の危害が生じにくい包装済み食品の販売だけが届出対象外となる例はありますが、その食品の製造まで対象外とは限りません。
営業許可と営業届出は何が違いますか?+
営業許可は、法令で定める許可業種について施設基準等を確認し許可を受ける制度です。営業届出は、許可業種と届出対象外営業を除く食品営業について、営業者や施設等を届け出る制度です。どちらでも衛生管理や食品表示の確認は別に必要です。
自宅で作ったクッキーを販売できますか?+
クッキーという名称だけでは判断できません。工程に応じた営業許可等と、住居用台所から物理的に区画され、自治体の施設基準を満たす営業用施設等の確認が必要です。自宅を改装する前に保健所へ相談してください。
ネット販売だけでも営業許可は必要ですか?+
販売経路がネットだけであることを理由に、製造行為に必要な許可・届出が不要になるわけではありません。製造場所と工程で確認し、配送温度、容器包装の食品表示、特定商取引法上の表示も別に確認します。
マルシェで食品を販売するには何が必要ですか?+
許可施設等で製造した包装済み食品を販売するのか、会場で調理・盛付け等を行うのかで扱いが異なります。一時的・非営利の地域行事とも分け、会場所在地の保健所、主催者、会場管理者へ確認してください。
食品衛生責任者の資格があれば販売できますか?+
それだけでは販売できません。食品衛生責任者は施設の衛生管理を担う人であり、営業許可そのものではありません。許可・届出、施設、衛生管理、期限、食品表示を別に確認します。
シェアキッチンで作れば販売できますか?+
一律には判断できません。許可の名義人と業種、自分の商品・工程が対象か、原材料・製品を保管できるか、包装・ラベル貼付・発送を行えるかを、施設と保健所へ確認してください。
包装した食品にはどのような表示が必要ですか?+
一般用加工食品では、名称、原材料名、添加物、アレルゲン、原料原産地、内容量、期限、保存方法、表示責任者、製造所、栄養成分、食品ごとの個別事項などを確認します。必要項目と表示方法は食品や販売形態で異なります。
賞味期限は自分で決められますか?+
表示責任者が設定しますが、任意の日数ではなく、食品の特性、製造条件、包装、保存温度、流通条件に応じた科学的・合理的な根拠が必要です。他社商品の期限をそのまま使用しないでください。
保健所には何を持って相談すればよいですか?+
商品ごとの原材料、製造工程、加熱・冷却条件、包装・密封、保存温度、想定期限、製造量、製造・保管・販売・発送場所、設備配置図、同じ施設で作る全商品をまとめると相談しやすくなります。
物件を契約した後に保健所へ相談してもよいですか?+
相談はできますが、施設基準に合わない場合に契約や工事の手戻りが生じます。候補物件の図面と製造工程が用意できた段階で、契約・設備購入・工事の前に相談するのが安全です。
次に行うこと
主な公的資料・記事の位置づけ
食品衛生責任者
| 営業許可そのものでも、食品を販売できる万能資格でもない |
| HACCPに沿った衛生管理 | 食品の製造・加工等を行う営業者 | 衛生管理計画、実施、記録、見直し | 厚生労働省・業種別手引書・保健所 | 許可や届出とは別に、日々実行する仕組みを作る |
| 食品表示 | 主に、包装された一般用加工食品を販売する事業者 | 消費者へ伝える商品情報と表示方法 | 消費者庁・表示を担当する行政機関 | 許可を取得しても、表示確認が不要になるわけではない |
| 表示責任者と実際の製造所、規格書・変更連絡・期限根拠の入手を契約で確認 |
| 漬物 | 洗浄、切断、漬込み、熟成・調味、充填、包装、保管 | 加熱の有無、塩分・pH等、包装、保存温度 | 名称、原材料・添加物、内容量、期限、保存方法、個別事項 |
| 冷凍食品 | 前処理、加熱、冷却、凍結、包装、冷凍保管、配送 | 凍結方法、保管・配送温度、解凍後の取扱い | 名称、加熱調理の必要性、保存方法、期限、個別事項 |
| 保存方法 | 表示した期限を保つための条件 | 製品特性、試験・流通条件 |
| 表示責任者・製造所 | 表示に責任を持つ事業者と実際の製造場所 | 事業者情報、許可情報、委託契約 |
| 栄養成分表示 | 表示単位と熱量・基本5項目等 | 分析値または合理的な計算根拠 |
| 食品ごとの個別事項 | 食品に応じた追加事項、表示方法、必要な注意 | 食品表示基準の別表、通知、Q&A |
商品・工程や保管が利用条件外になる
| ネット販売なら許可が不要と思う | 製造行為の手続を見落とす | 製造場所と工程で確認する |
| マルシェなら自由に販売できると思う | 会場・自治体・主催者の条件に合わない | 出店内容を会場所在地で確認する |
| 仕入商品の規格書を入手していない | 添加物・アレルゲン・原産地を確認できない | 販売前に最新規格書を集める |
| 賞味期限を他社商品から流用する | 自社の製造・包装条件と根拠が合わない | 自社条件で期限根拠を作る |
| 食品表示を販売直前に作り始める | 資料不足や包材の手戻りが起きる | 試作・包材検討と並行して作る |
| 他社ラベルをそのままコピーする | 自社原料・工程・事業者情報と異なる | 実例は場所の理解に使い、自社資料から書く |
| 原材料やレシピ変更後に表示を更新しない | 現物と表示が一致しなくなる | 変更管理と包材の版管理を行う |