賞味期限・消費期限の決め方|条件と根拠をそろえる手順
手作り食品の期限は何日? 一律の日数では決められません。製造・包装・保存条件を整理し、試験や資料を基に期限を設定する手順を解説します。
執筆:もぐもぐ
販売する食品の期限は、自社商品の製造・包装・保存条件に合う根拠をそろえて決めます。 他店の日数やレシピ本の保存目安を、そのままラベルに写すことはできません。最初に取り組むのは、検査の申し込みよりも、期限の前提となる条件の整理です。
賞味期限か消費期限かは、日数だけで分けない
消費期限と賞味期限は、何を保てる期限なのかが異なります。どちらを使うかは、劣化の仕方など食品の特性を踏まえて決めます。
| 表示 | 考え方 |
|---|---|
| 消費期限 | 定めた保存方法で保存したとき、安全性を欠くおそれがないと認められる期限 |
| 賞味期限 | 定めた保存方法で保存したとき、期待される品質を十分保てると認められる期限。過ぎた瞬間に品質が失われる意味ではない |
「5日以内なら消費期限、それより長ければ賞味期限」と区別する考え方を、消費者庁は現在推奨していません。賞味期限を使う食品でも、安全性の確認が不要になるわけではありません。
期限は、未開封で決めた保存方法を守ることが前提
表示する期限は、開封前の状態で、定めた方法により保存した場合のものです。開封後の日持ちを同じ日付で保証する表示ではありません。必要な開封後の取扱いは、期限や開封前の保存方法とは分けて伝えます。
同じ生地でも、袋の材質、密封の状態、1袋の量、包装までの工程が変われば、期限の前提が変わります。「脱酸素剤を入れれば何日」と決めず、使う包材や封入条件も含めて確認してください。
まず、製造から引き渡しまでの条件を一枚にまとめる
検査機関などへ相談するときは、食品名と希望日数だけでは情報が足りません。実際に売る商品と同じ条件を説明できるよう、配合、工程、包材、流通をそろえます。
- 分野
- 食品と配合
- 用意する内容
- 商品名、原材料、配合量、水分や酸性度など既知の特性、仕入規格書
- 分野
- 製造
- 用意する内容
- 工程図、加熱・冷却・包装の管理条件、製品ごとのばらつき
- 分野
- 包装
- 用意する内容
- 包材の仕様、密封方法、1袋の量、封入物の種類と使用条件
- 分野
- 保存・流通
- 用意する内容
- 製造後の保管、配送、売場で想定する温度・湿度・時間
- 分野
- 検討したい期限
- 用意する内容
- 賞味期限か消費期限か、希望する期間、その期間が必要な販売計画
| 分野 | 用意する内容 |
|---|---|
| 食品と配合 | 商品名、原材料、配合量、水分や酸性度など既知の特性、仕入規格書 |
| 製造 | 工程図、加熱・冷却・包装の管理条件、製品ごとのばらつき |
| 包装 | 包材の仕様、密封方法、1袋の量、封入物の種類と使用条件 |
| 保存・流通 | 製造後の保管、配送、売場で想定する温度・湿度・時間 |
| 検討したい期限 | 賞味期限か消費期限か、希望する期間、その期間が必要な販売計画 |
常温販売でも、季節や配送先、輸送・売場を含む温度環境を考慮します。2025年改正ガイドラインでは、常温保存の食品に、期限設定で想定した具体的な温度・湿度等の条件を付記することが望ましいとされています。
検査用の試作品だけ包装を丁寧にしたり、実際より涼しい条件だけで保存したりすると、販売品に使える根拠なのかが問題になります。どの条件を評価する必要があるか、相談時にすり合わせてください。
試験項目と判定基準は、食品の特性から選ぶ
期限を検討する試験には、微生物試験、理化学試験、官能検査などがあります。すべての商品に同じ3種類を同じ内容で行う、という一律の決まりではありません。何が先に問題になる食品かを考えて、必要な項目と評価基準を選びます。
| 分野 | 何を確かめるかの例 |
|---|---|
| 微生物に関する確認 | 食品の特性や工程から考えられる微生物の増殖等 |
| 理化学的な確認 | 油脂の酸化、水分など、品質変化と関係する指標 |
| 官能的な確認 | 評価条件をそろえた上での、味・におい・食感・外観の変化 |
項目だけでなく、何をもって許容できるとするか、検体の採り方や保存条件、評価する時点も決めます。官能検査も、適切な条件と手法で評価して初めて客観的な根拠として使えます。
HACCPに沿った衛生管理で整理した危害要因も、期限設定の検討に使います。日々の衛生管理と、期限を裏付ける評価はつながっていますが、衛生管理計画があるだけで希望日数の根拠が自動的にできるわけではありません。
既存資料や類似商品の試験を使う場合
科学的・合理的な知見や、特性が類似する食品の試験結果を参考にできる場合もあります。商品ごとに必ず同じ検査を最初から一式行う、という意味ではありません。
ただし、名前が同じ菓子というだけでは類似性を説明できません。配合、製法、包材、保存条件の共通点と違いを確認し、参考にできる範囲を記録します。他社パッケージに書かれた日付だけでは、その根拠や条件は分かりません。
安全係数は「必ず0.8」ではない
評価から得られた期間に1未満の係数を掛けたり、一定の時間を差し引いたりして期限を設定する方法があります。その係数や差し引く時間は、食品のばらつきなどに応じて考えます。すべての食品に同じ数値を使う制度ではありません。
2025年改正では、食品の特性によるものの、安全係数を1に、差し引く時間を0に近づけることが望ましいとされました。一方、微生物の増殖や品質のばらつきが大きい食品では、その特性に応じた係数の設定が必要です。根拠なく日数を延ばしてよい、という改正ではありません。
試験結果を受け取ったら、評価した条件、ばらつき、採用する期限とその理由をまとめます。検査機関に相談していても、表示する側が結果と判断のつながりを説明できるようにしておきましょう。
決めた期限を、保存方法と一緒にラベルへ落とし込む
期限は年月日で表示します。賞味期限は、製造・加工した日から賞味期限までの期間が3か月を超える場合、年月表示とできる規定があります。「3か月以上」ではありません。年月表示へ変える場合も、実際に保証できる期間を超えないか確かめます。
「製造日から○日」という説明だけで、必要な期限の日付表示に代えることはできません。日付を欄外へ印字するときは、消費者が場所を特定できるよう具体的に示します。
実物では、日付を示す欄と保存方法を続けて見る
名代そうめんつゆには「賞味期限 枠外右下部に記載」と、その下に保存方法が書かれています。日付を別の場所に印字する形式を確認できます。

この写真から製造日や設定した保存日数、検査内容は分かりません。確認するのは表示位置の案内と保存方法です。自社商品では、自分の包材の印字位置と、根拠に用いた保存条件を表示に反映します。名代そうめんつゆの登録画像を見る
根拠を保存し、条件が変わったら見直す
期限設定の根拠資料は整備・保管し、問い合わせにも対応できるようにします。試験結果だけでなく、何の商品をどの条件で評価した資料か、採用した期限と判断理由を一緒に残します。
期限を再確認するきっかけ
- 原材料の仕入先、配合、製品の大きさを変えた
- 加熱・冷却・包装などの工程や設備を変えた
- 包材、密封方法、封入物、袋の内容量を変えた
- 常温・冷蔵・冷凍の扱い、配送先、売場条件を変えた
- 日々の記録や問い合わせから、想定外の品質変化が分かった
変更があるたびに全検査を同じ形でやり直すとは限りません。元の根拠がどこまで使えるか、追加の評価が必要かを確認します。冷凍品を解凍して売るなど保存条件を変える場合も、単に日付を付け直すのではなく、変更後の根拠を検討してください。
検査・技術相談へ持っていくメモ
まだ決まっていない項目は空欄で構いません。食品検査機関や技術相談窓口には、「何日持ちますか」だけでなく、この条件を説明して、必要な評価の進め方を相談します。
期限設定の相談メモ
具体的な日数・温度・試験項目は、商品に合わせて検討するため空欄にしています。
商品と条件
- 商品名・配合表の版・原材料規格書:
- 製造工程・加熱冷却等の管理条件:
- 包材・包装方法・1袋の量・封入物:
- 保管・配送・販売時の想定条件:
確認したいこと
- 検討する期限の種類と希望期間:
- 既存の試験結果・参考資料:
- 必要な指標・判定基準・保存条件:
- 検体数・評価時点・費用・所要期間:
- 期限の決定担当者・根拠資料の保存先:
期限と保存方法が決まったら、食品表示ラベルの作り方でほかの項目と合わせます。製造販売の準備全体は手作り食品を販売するための8つの準備で確認できます。
参照した公的資料
関連キーワード
賞味期限 決め方 / 消費期限 設定 / 食品 期限設定 / 賞味期限 検査 / 期限表示 ガイドライン 2025