栄養成分表示は義務?省略できる食品と販売条件

個人店なら省略できる? 委託販売では? 栄養成分表示の必要性を、食品の種類・販売する人・栄養に関する表現の順に確認します。

執筆:もぐもぐ

容器包装した一般消費者向け加工食品は、原則として栄養成分表示が必要です。省略できる場合もありますが、「手作り」「個人店」「少量販売」という呼び方だけでは決まりません。食品と包装、実際に販売する事業者、パッケージに書く言葉を確認します。

省略する前に、三つを順に確認する

最初から従業員数だけを数えるのではなく、どのような食品を、誰が、どの表示で売るかを書き出します。販売先やパッケージを変えたときにも、同じ順で見直せます。

栄養成分表示の確認順

  1. 1

    食品と売り方

    包装した加工食品か。食品・包装・販売場所の条件による例外があるか。

  2. 2

    販売する事業者

    小規模事業者の条件を満たすか。別の事業者へ売り渡す取引があるか。

  3. 3

    栄養に関する表現

    栄養成分の量や「たんぱく質豊富」などを表示しようとしていないか。

食品・包装による省略条件は、名前だけで当てはめない

食品表示基準には、表示可能面積が小さいものなどの省略規定があります。下の条件に当てはまっても、栄養表示をしようとする場合には省略できません。

省略条件:食品表示基準第3条第3項(新しいタブで開きます)ガイドライン4〜6頁(新しいタブで開きます)

一般用加工食品で確認する主な省略条件
条件
容器包装の表示可能面積がおおむね30cm²以下
判断するときの注意
貼りたいシールの面積ではなく、容器包装の表示可能面積で判断する
条件
酒類
判断するときの注意
酒税法に規定する酒類かを確認する。酒を原材料に使う菓子まで一括して含めない
条件
栄養の供給源としての寄与が小さい
判断するときの注意
基本5項目がすべて0表示の基準を満たすか、1日に摂取する栄養量等が社会通念上微量かを確認する
条件
極めて短期間に原材料・配合が変わる
判断するときの注意
レシピが3日以内に変わる日替わり弁当等や、複数部位の混合で都度原料が変わるもの。サイクルメニューは含めない
条件
小規模事業者が販売する
判断するときの注意
食品を作った人だけでなく、販売する事業者の条件と取引の形を確認する

小さいラベルを選んでから「30cm²以下だから省略」とすることはできません。袋・箱のどの部分が表示可能面積に算入されるか分からないときは、実際の包材や寸法図を示して確認してください。

茶葉やスパイスなども、食品名だけで一律に判断しません。一度に多く使い、栄養の供給源となるものは、寄与が小さいという理由で省略できない場合があります。

具体的な条件:消費者庁ガイドライン4頁(新しいタブで開きます)

季節限定のクッキーや月替わりメニューは、変更があるというだけでは「極めて短い期間」の条件に当てはまりません。変更の間隔と内容を確かめます。

小規模事業者かどうかは、制度上の基準で確認する

この省略の対象は、消費税法第9条第1項の納税義務が免除される事業者です。当分の間、中小企業基本法に規定する小規模企業者が販売するものも含まれます。どちらかの条件に当てはまるかを確認します。

食品表示基準第3条第3項・附則第6条(新しいタブで開きます)

小規模事業者の確認に使う二つの基準
確認する基準調べること
消費税の納税義務が免除される事業者当該年度に消費税法第9条第1項の対象となるか。直近の売上額だけで判断しない
中小企業基本法の小規模企業者常時使用する従業員が20人以下。商業・サービス業を主たる事業とする場合は5人以下。前事業年度で人数が最多の時点を確認する

従業員数は、いま店頭にいる人数ではありません。主たる事業の区分と、前事業年度に常時使用した従業員数を資料で確かめます。年度が変わったら、同じ省略条件を使い続けられるか見直してください。

人数・判定時点:ガイドライン5頁(新しいタブで開きます)

卸売と委託販売では、誰が販売するかが違う

小規模事業者が作った食品でも、小規模でない事業者が仕入れて販売する場合は、小規模事業者の省略規定を使えません。「小さな工房で製造した」という説明だけでは足りないのは、このためです。

販売経路と所有権:消費者庁チラシ(新しいタブで開きます)

小規模事業者の規定だけに着目した架空例(栄養表示をしない場合)
取引確認結果
条件を満たす小規模工房が、自ら消費者へ販売小規模事業者が販売するものとして省略を検討できる
小規模工房から、小規模でない小売店へ売り渡し、小売店が販売この小規模事業者の省略は使えない。他の省略条件がないかは別途確認する
小規模工房が販売主体で、会場側は場所貸し・代金回収のみ会場側へ所有権が移転せず、実際の販売主体が小規模工房なら、省略を検討できる

「委託販売」という契約名だけでは判断できません。商品を誰が所有し、消費者へ売り渡すのか、売れ残りを誰が引き取るのかなど、実際の取引内容を確認します。売場が大型店という外見だけで結論を出さないでください。

栄養成分表示が必要となった場合、製造者と販売者で、数値を用意する人と表示する人を決めます。販売者が栄養成分表示を追記することもできますが、その追記内容について責任を負います。

表示の追記と責任:ガイドライン5頁(新しいタブで開きます)

製造した場所で売る場合は、場所と事業者を確認する

製造者と販売者が同一で、同じ施設内または敷地内で製造販売する場合には、栄養成分表示を要しない規定があります。ただし、栄養表示をしようとする場合は必要です。

製造場所での販売:食品表示基準第5条(新しいタブで開きます)ガイドライン6頁(新しいタブで開きます)

同じ店の名前で売っていても、別の工房から店舗へ運ぶ場合や、別会場で販売する場合に、この規定がそのまま使えるわけではありません。製造する住所、販売する場所、事業者の関係を整理します。

栄養に関する言葉を書くと、省略できないことがある

「たんぱく質豊富」などの表現は、売り文句だけの問題ではありません。省略条件を満たす商品でも、容器包装に栄養表示をしようとする場合は、基準に沿った栄養成分表示が必要になります。

似ていても扱いが異なる表現
表現確認すること
たんぱく質豊富、カルシウム入り栄養成分表示に加え、該当する栄養強調表示の条件を確認する
うす塩栄養表示に当たる。単に味の説明として扱わない
うす塩味、甘さひかえめ味覚に関する表示は、ガイドライン上の栄養表示には当たらない。別の栄養表示を併記していないか確認する
原材料名として記載する栄養成分名のみそれだけでは、ここでいう栄養表示には当たらない

自然に含まれる栄養素の説明や、原材料の栄養を取り上げた表示も確認対象です。文字を大きくして強調していなくても、内容で判断します。

栄養表示に当たる表現:ガイドライン6頁(新しいタブで開きます)

表示する場合は、基本の5項目をそろえる

基本は、熱量、たんぱく質、脂質、炭水化物、食塩相当量を、この順に表示します。ナトリウムは食塩相当量に換算した値を使います。数値が小さいという理由で、その項目だけを抜くことはできません。

ピザパンの実物栄養成分表示。1個当たりのエネルギー、たんぱく質、脂質、炭水化物、食塩相当量が並ぶ
画像を拡大して確認する(新しいタブで開きます)
ピザパン/撮影日:2026年8月29日。5項目と食品単位の配置を見る実例です。登録時点の表示で、現在の現物とは異なる場合があります。

この表示には「1個当たり」と基本5項目があります。写真で確認できるのは表示の形と記載内容です。写真だけから、その事業者の規模、表示義務の判断、計算方法までは分かりません。ピザパンの登録画像を見る

省略できる食品に任意で表示する場合も、表示するなら基準に沿って作ります。「参考」と添えれば形式や数値のルールを外せる、というものではありません。

食品表示基準第3条第3項(新しいタブで開きます)消費者庁・栄養成分表示の資料(新しいタブで開きます)

省略の根拠は、販売先と一緒に記録する

省略する場合も、どの条件に当てはめたかが分かるメモを残しておきましょう。販路の追加、従業員数の変化、栄養をアピールするパッケージへの変更が、再確認のきっかけになります。

栄養成分表示の要否・確認メモ

省略を自動判定するものではありません。根拠資料と相談事項を整理するために使います。

商品と販売

  • 商品名・包装形態・表示可能面積:
  • 製造場所と販売場所:
  • 販売主体・販売先・所有権の移転:
  • 容器包装に書く栄養関連の表現:

判断と次回確認

  • 表示する/省略する/未確認:
  • 当てはめた規定と根拠資料:
  • 事業規模の判定年度と確認資料:
  • 相談先・回答日・担当者:
  • 販売経路や表示を変える際の再確認担当:

表示を作ると決まったら、栄養成分表示の計算方法へ進んでください。原材料の規格値や成分表、出来上がり重量から数値を求め、表示の単位と根拠資料をそろえる手順を説明しています。

参照した公的資料

制度確認日:2026年9月6日。

食品表示基準(新しいタブで開きます)消費者庁・栄養成分表示ガイドライン第5版(新しいタブで開きます)消費者庁・小規模事業者向けチラシ(新しいタブで開きます)大阪市・栄養成分表示(新しいタブで開きます)

関連キーワード

栄養成分表示 義務 / 栄養成分表示 省略 / 栄養成分表示 小規模事業者 / 栄養成分表示 委託販売