睡眠の質を上げたい方へ|機能性表示食品の成分と根拠を比較
機能性表示食品は医薬品ではなく、疾病の治療・予防を目的としたものではありません。感じ方には個人差があります。体調や服薬状況によっては注意が必要な場合があるため、必要に応じてかかりつけ医へ相談してください。
機能性表示食品は医薬品ではなく、疾病の治療・予防を目的としたものではありません。感じ方には個人差があります。体調や服薬状況によっては注意が必要な場合があるため、必要に応じてかかりつけ医へ相談してください。
「なかなか寝つけない」「夜中に目が覚める」「朝スッキリ起きられない」--- こうした睡眠の悩みは、年代を問わず多くの方が抱えています。厚生労働省の調査では、日本人の約5人に1人が睡眠に何らかの問題を感じているとされています。
機能性表示食品の中で「睡眠の質」に関する届出は691件と非常に多く、サプリメント、飲料、チョコレート、グミなど多様な形態で販売されています。ただし、配合されている成分によってアプローチが異なり、「リラックスを促して寝つきを良くする」ものから「睡眠の深さを高める」ものまでさまざまです。
この記事では、睡眠の質向上に関連する主な成分を比較し、それぞれの特徴を解説します。
睡眠の質を高める2つのアプローチ
睡眠の質を改善する成分は、主に2つのメカニズムに分けられます。
神経系に働きかける --- 抑制性の神経伝達物質やリラックス成分により、交感神経の活動を抑えて入眠を促す
体のリズムを整える --- 体温調節やホルモンバランスに作用し、深い睡眠を増やしたり目覚めを改善する
睡眠の質に関連する主な成分
GABA --- 睡眠サポート成分の王道
GABA(γ-アミノ酪酸)は、脳内で抑制性の神経伝達物質として働くアミノ酸です。交感神経の過度な興奮を抑え、心身をリラックスさせることで入眠をサポートします。
睡眠の質カテゴリ691件のうち約360件(52%)がGABA配合で、最も多くの製品に使われています。睡眠の質以外にも、ストレス緩和や血圧のサポートなど多機能な成分として知られています。
エビデンス: 複数のランダム化比較試験で、GABA摂取後の睡眠潜時(寝つくまでの時間)の短縮やノンレム睡眠の増加が報告されています。100mg程度の摂取で効果が確認されており、即効性が比較的高い成分です。
ラフマ由来ヒペロシド・イソクエルシトリン --- 深い眠りをサポート
ラフマは中国で古くから「お茶」として親しまれてきた植物です。含有するヒペロシドとイソクエルシトリンは、セロトニンの分解酵素を抑制し、脳内セロトニン量を維持することで睡眠の質を高めるとされています。
約97件の届出があり、GABAに次ぐ睡眠サポート成分です。特に睡眠の深さを高める効果が特徴で、ストレス緩和との相乗効果も期待されています。
エビデンス: 臨床試験で、ノンレム睡眠時間の延長と睡眠効率(ベッドにいる時間に対する実際の睡眠時間の割合)の改善が確認されています。
クロセチン --- 眠りの深さに特化
クロセチンは、クチナシの果実やサフランに含まれるカロテノイド色素です。睡眠の深さ(デルタ波睡眠)を増加させ、翌朝の疲労感を軽減する作用が報告されています。
約33件の届出があり、眠りの深さに特化した訴求が特徴です。「寝つきは悪くないが、熟睡感がない」という方に向いています。
エビデンス: ランダム化比較試験で、7.5mgのクロセチン摂取により、深い睡眠(徐波睡眠)の割合が増加し、起床時の眠気や疲労感が軽減することが確認されています。
L-テアニン --- 緑茶由来のリラックス成分
L-テアニンは、緑茶に多く含まれるアミノ酸です。脳のα波を増加させ、覚醒しながらもリラックスした状態を促すのが特徴です。就寝前に摂ることで、穏やかに入眠へ導きます。
エビデンス: 200mgの摂取で、入眠の改善(中途覚醒の減少)や起床時の疲労回復感の向上が臨床試験で報告されています。カフェインの興奮作用を和らげる働きもあるため、夕方以降のカフェイン摂取の影響が気になる方にも適しています。
その他の睡眠関連成分
還元型コエンザイムQ10: 細胞のエネルギー産生を助け、日常の疲労感を軽減することで間接的に睡眠の質をサポート
グリシン: アミノ酸の一種で、深部体温を低下させて深い睡眠を促進。3g/日の摂取で翌朝の目覚め改善が報告
乳酸菌(YRC3780株、ガセリ菌CP2305株等): 腸脳相関を通じて睡眠の質を改善。ストレスによる睡眠の乱れにも作用
クワンソウ由来オキシピナタニン: 沖縄で「眠り草」として伝統的に使われてきたハーブ由来の成分
サフラン由来クロシン・サフラナール: 気分の安定と睡眠の質の両方をサポート。セロトニン代謝に関与
S-アリルシステイン(熟成にんにく由来): 抗酸化作用を通じた疲労回復と睡眠サポート
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よくある質問
Q: 睡眠の機能性表示食品で不眠症は治せますか?A: 機能性表示食品は「睡眠の質を高める」ことを訴求するもので、不眠症の治療を目的としたものではありません。2週間以上にわたって眠れない日が続く場合や、日常生活に支障をきたしている場合は、睡眠外来や心療内科を受診してください。
Q: 睡眠薬との併用は大丈夫ですか?A: GABAやL-テアニンなどのリラックス系成分は、睡眠薬と作用が重なる可能性があります。睡眠薬を服用中の方は、必ず主治医に相談の上で使用してください。自己判断での併用や、睡眠薬の代わりに使用することは避けてください。
Q: いつ摂るのが効果的ですか?A: 多くの製品は「就寝前」の摂取が推奨されています。GABAやL-テアニンは摂取後30分〜1時間で効果が現れるとする研究もあり、就寝の30分〜1時間前の摂取が目安です。ラフマや還元型コエンザイムQ10は継続摂取で効果が安定する傾向があります。
Q: カフェインとの関係は?A: カフェインは覚醒作用があり、睡眠を妨げる可能性があります。L-テアニンはカフェインの興奮を和らげる作用がありますが、基本的には夕方以降のカフェイン摂取を控えた上で、機能性表示食品を補助的に活用するのが効果的です。
まとめ
睡眠の質を高める機能性表示食品は691件と多く、GABA、ラフマ、クロセチン、L-テアニン、グリシンなど多彩な成分が使われています。
寝つきを良くしたい → GABA、L-テアニン(即効性のあるリラックス成分)
深い眠りがほしい → クロセチン、ラフマ由来ヒペロシド・イソクエルシトリン
ストレスと睡眠を同時にケアしたい → ラフマ由来ヒペロシド・イソクエルシトリン、GABA
睡眠の質は生活習慣(光環境、運動、食事時間)の影響も大きいため、機能性表示食品はあくまで補助として活用し、生活全体を見直すことが大切です。
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参考文献
Yamatsu A et al. "Effect of oral gamma-aminobutyric acid (GABA) administration on sleep and its absorption in humans." Food Science and Biotechnology, 2016; 25(2): 547-551.
Nobre AC et al. "L-theanine, a natural constituent in tea, and its effect on mental state." Asia Pacific Journal of Clinical Nutrition, 2008; 17(S1): 167-168.
Kuratsune H et al. "Crocetin from Gardenia jasminoides Ellis improves the quality of sleep: a randomized, double-blind, controlled, crossover study." Phytomedicine, 2010; 17(11): 840-843.
消費者庁「機能性表示食品の届出情報検索」
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